性的な欲動は訓練することができず、その訓練もあるいは過剰になったり、あるいは不足しすぎたりする。
『フロイト、性と愛について語る』
この文面を最初に括らないとこの本の説明は
非常に難しくなる。解説者の気持ちが分かる。
この本の内容を分かりやすく伝えるなら、
異常性愛者(異常と評してしまうのも大変憚れるが)と社会的ないわゆる普通と呼ばれる人達との理解し合えない壁のようなものを描いた作品。
年齢や立場や男女、様々な欲を持った違う視点から、読み進めながら、
一つの事件へと話は進んでいく。
読後に普通ってなんだっけ?
と世間一般で言う普通の定義が揺らぐ作品。
何故、『普通』の人達は
異常と呼ばれる側のマイノリティに寄り添い理解してあげるスタンスなのか?
LGBTQでさえ、マイノリティの中のマジョリティー。
と鋭く様々な性と正を生を問うてくる。
読んだ感想として
本編ではあまり直接的に描かれてはしないが
付き纏(まと)う概念として正義があった。
正までは概念上の必要性を感じるが、
義がつくと急に重苦しくなる。
人を追い詰め、果ては命を奪うまでに。
普通はこうする
普通ならこうでしょ?
と仕事でも普段でも言ってる気がする。
誰かを追い詰め、
そして自分をも追い詰めてる気がする。
多様性という便利で分かったような気にさせる言葉。
扱いに気をつけようと思った。